ひだまりの保育

ひだまりの保育で最も大切なこと、それは「保育者が、自分自身を大切にするのと同じ気持ちで、子どもを大切にする」こと。これを「ぶれないように」・「愚直に」日々行っているのがひだまりです。

究極的にはこれだけなのですが(笑)、以下にもう少し詳しく、実践の中で大切にしている要素をご紹介させていただきますね。

【毎日の外遊びも自己肯定感を育むため】

ひだまりは外遊びが充実した園だと思います。(毎日の活動の様子はこちらのページをご覧ください。)

外遊びによって体力も運動能力も高まるのは確かですが、「何故、外遊びで自然との触れ合いを大切にするのか?」といえば、「自己肯定感を育んでくれるから」です。

自然には「はかない」一面があります。今ここに生きていた虫が、次の瞬間に食べられて命を落とす…なんてこともしばしば。

ですが、同時に「かけがえのなさ」もあわせ持つのも自然です。例えばカナヘビという虫、オシロイバナという花…、自然界にはまったく同一の個体は2つとありません。無数の個体が絶妙に調和しながら成り立っているのが自然なのです。

自然の中に佇み「はかなさ」と「かけがえのなさ」を感じてみる。すると、「私という存在が、唯一無二」であることが理屈抜きで分かってくるのです。だから、私たちは毎日、お散歩に出かけています。

【行事:季節の移り変わりを感じながらシンプルに】

「運動会」や「生活発表会」のような、大人に見せる側面の強いイベントは行いません。主役はあくまで子どもでありたいですので。

ですが、日々の活動の延長としてのささやかな行事はたくさんやっています。(どんなことをしているかは、こちらのページをご覧ください)

【「自分の気持ち」が分かるように、表現できるように】

「自分の気持ちを大切に」、ひだまりの根底に流れている思想です。

小さい子同士がおもちゃの取り合いになった時、「いやだよ!」・「かして!」… たったひと言であっても、その子の気持ちが的確に表現できることばを一緒に探して言えるように丁寧にサポートをしています。

もう少し大きな子には「言いたいことがあるなら、相手にぶつけてごらん。」と背中を押したりもします。
そうやって育った子どもたち、成長するにつれて、もめ事は大人に頼らずに自分たちで解決しようとするようになっていきます。

また、私は5歳・6歳といった大きな子たちに対しては、「あなたはどう思うの?」・「どうしたいの?」…など、事あるごとに問い続けています。その際、どんな気持ちを持つのもその子の自由ですので、子どもの気持ちを私は否定しません。すると、子どもたちは安心して自分の気持ちを発言するようになっていきます。

自分の気持ちを堂々と言えるようになって卒園をしていく子が多いです。あくまで結果ですが、小学校でリーダー的な立場で活躍している子が多くいます。

【「気持ちがどこを向いているか」を大切に】

「何をするか」以上に「どんな気持ちでするか」に私はこだわっています。

例えば、ひだまりでは全員参加でお祝いをする「お誕生会」。もし、参加者にお祝いの気持ちがなければ、主役の思い出に残るような会にはきっとならないでしょう。「『おめでとうの気持ち』を大切にしよう」、お誕生会ではそんなことを繰り返し子どもたちに伝えています。

お誕生会に限らず、日々の生活の中で「気持ちをどこに向けるべきか」丁寧に語り続けています。

すると、自然な形で「下級生にこころを寄せる」ことも出来るようになっていきます。「気持ちを扱う」こと自体が上手になっていきます。

【暑さ・寒さを自然に味わいながら、成長していけるように】

ひだまりでは冷暖房は最低限しか使いません。冬場も薄着で活動します。

暑い夏の日、子どもたちは(私たち職員も)、汗をうっすらとかき続けながらも笑顔で過ごしています。
冬場の外遊びでは「寒ければ走って温まってください!」です。このように、ひだまりの生活環境はワイルドだと思います。

最近は公立小中学校にも冷暖房完備の所が増えてきましたし、ひだまりのような環境は珍しくなってきているかも知れませんね。

ですが、暑さ寒さを排除するという発想では、強く丈夫な体は育むことは出来ないのではないでしょうか。子どもたちの将来を見据えて、(大きな事故がないように注意を払いながらも)体に少しづつ負荷をかけながら生活をしています。

【「ちょっと危ないこと」もやらせています】

 「大きな怪我をしないために、小さな怪我をする」、そんな感覚も大切にしています。

ですが、そうした方向での園運営は、世の中的にはどんどん難しくなっているみたいです。これでは、子どもたちは何をやったらどのぐらい危険なのか、学ぶことが出来なくなってしまいます。

ひだまりでは保護者のみなさまのご理解もいただきながら、刃物も使います。普通の園ではすることが難しくなってきている高い場所からのジャンプなど、ちょっと危ないことも積極的にやらせています。

ただし、危険で「楽しいこと」をするには、危険を回避できるだけの「注意力」・「集中力」・「体の強さ」などを身につけていることが前提となります。そうでなければ、絶対にやらせません。私たちが1人ひとりの能力をしっかりと把握しているからこそ、メリハリをつけてやらせることが可能となっています。

【ひだまりのあり方の具現化のひとつ、「保育参加」】

ひだまりには園児のお母さま・お父さま方の「保育参加」という仕組みがあります。

事前のお申し込み・参加は午前中などのルールはありますが、お母さま方はいつでもひだまりに来て、子どもたちと一緒に過ごすことができます。

ただし、その際は「お手伝い」といったイメージで参加いただいています。わが子だけでなく、子どもたちみんなのことを見守ってもらいたいですので。

『お母さま方は、ひとりの「大人」として、(我が子だけでなく)みんなのことを見守ってくれている。愛を注いでくれている』、『子どもたちは、たくさんの愛のある大人に見守られ、多様性の中で自己を確立していく』、これが私のイメージするひだまりコミュニティーの姿です。

それを実現するために、保育参加の仕組みを導入しているのです。


体験学習イメージ

2018年10月の「筑波山登山」より(お気に入りの2枚)。

体験学習イメージ